人間にとって【ガン】という病気はイメージからして大変でなかなか治らない死の病気
というイメージ(近年ではいい薬、手術の向上で治癒率も高くなっていますが)があり
ますが、グラブの革もかつては生きていたもので、健康であったからこそ最後に革として
野球人の役にも立っており、不健康であればそうでなかったことだと思います。
健康な革であるからこそ、治療(修理)もできるものなのです。
何故こんなことを言うのか、それはグラブの修理やオーバーホールに関してのお願いが
あるからです。
主に紐切れのレース交換や破れ修理となりますが、ご依頼人の意識では修理・修復
は簡単にできるもので魔法のように蘇る、というイメージをもたれる方も少なくありません。
しかし、実際は不健康な革であるグラブに関しては、ずばり【無理】なのであります。
不健康・病気の革というのはわかりやすく言えば【硬化】してしまっているもの、
【薄くすり減っているもの】、【ウロコのようにひび割れ】してしまっているものなのですが、
それは本当にはっきりと言えば、ケンシロウ曰く、『すでに死んでいる』革でもあります。
例えば、平裏の交換をする場合、指袋に縫い付けるので、指袋が健康でなければ
平裏交換もできません。硬化した革はまるで薄っぺらなプラスチックのような感じなので
そこに針を通して縫っても針穴から割れてきて、たとえ縫えたとしても耐久性もなく、
すぐに割れてゆきます。何のために高いお金を払って修理をしたのでしょう。
耐久性はありません。これは、球児先生ではリスクの危険性として事前にお客様に
ご説明しています。
早めに対処をお願いします。革が死んでしまったら、治療(修理)もできなくなります。
『時すでに遅し』では逆にグラブちゃんの寿命も縮んでしまいます。人間の病気と
一緒で、早期発見・早期治療なのです。よろしくお願いいたします。