グラブ修理として【匠処 先輩】に持ち込まれるケースで同様の傾向でご依頼がある。
グラブが一番弱いところ。一番多いのが親指の付け根~ウェブ下部にかけての『裂け』
なのでございます。一番弱い部分とはじめに言いましたが、その箇所が薄いとか造りが良くないというわけでなく、
どこも一緒なのだけれど、そこで球を捕ってしまうから、そこに不具合が
生じてしまうのです。破れ(というより裂けている)はおおよそ2-5㎝程ですが、おおかたは
グルっと回って裏側のウェブの一番下の方まで続いていて、ハミダシ部分までもほつれている。
実は大変厄介な修理で、再発率が高いのです。そこ1点に球が集中しますので、
しかも回転している球をその部分で擦りながら受け止めるものですから、太目の糸でも
もたないのです(5号から8号の糸が切れたり、ほつれたり、縫った周辺がまた破れるなど)
もちろん、単に裂けている箇所を縫い合わせるだけでなく、裏側からグラブの形状に応じた
革を切り出して、グラブに違和感の出ないよう、削った革をフィットさせて縫い合わせます。
ですので、その部分はかなり頑丈にはなります。
しかしながら、それをお客様に伝えると、捕球時のクセや捕り方自体にそれぞれ個性が
あるそうで、「それはどうしようもない」と申されます。グラブを使えば革も疲弊するし、
それを縫い合わせれば革にミシン穴をあけてしまってさらに疲弊する。。。。
実際は修理自体、一時的な対処療法で、グラブが元どおりになるわけではないけれど
【グラブの延命措置】的なものが修理ではないでしょうか。
出来るだけ長く使えるように最善を尽くして修理をさせていただきますが、どうしてもやった
ばかりでの再発やその部分に力が加わることでほつれが出る可能性もございます。
短い間(使用頻度にもよりますが)での再発は納得いくまで頑張って無料で再度見直しを
させて頂きます。何か月も何年も使えるようになればと願い、ミシンで糸を紡いでおります。
そして日々、ミシンの腕も鍛えておりますので、どうかご理解を賜りましたら幸いです。