本日は革のお話です。

グラブに使用される革は牛の革、ということは皆さまもご存じだと思います。

今回、そのグラブを作る際に型をくり抜く革そのものをご紹介させていただきます。

 

牛を捌くことを【割る】といいますが、皮を剥ぎ内臓を掻き出された牛は枝肉として

縦半分に捌かれます。よくテレビで見るシーンとして足から吊るされたお肉の塊ですね。

背骨から縦二つに割るので、それを総称して捌くことを割る、というのですが、

革も同様に牛1頭から縦に割ったままの形として2枚が加工、売買されてゆきます。

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その1枚が写真の状態です。塩漬けされた牛の毛や少しの肉がついたままのものを

タンナーさんが1枚の革として仕上げてゆくのです。ちなみにこの革は寺田レザーとなります。
1枚の牛革ではありますが、実は部位によって全く革質が異なってくるのです。

背中側は厚みがあってしっかりとしているので、一番おいしい部分です。キャッチングに

耐えうるポケット部分などにも使われます。腹側になると薄くなって柔らかくなってきます。
ですのでヘリ革用に、または薄いヒモ用なんかにも重宝されます。

どの部位をどこに使うのかはグラブメーカーさんの腕の見せ所であり、血管跡やキズなど

を避けつついい部分を取ってゆくのです。

 

この革1枚からグラブとしての取れ高はおおよそですが、3個前後ぐらいです。

革のランクは4-5段階で例えば10㎝×10㎝がいくらか、という価格で面積分を

かけて算出します。ざっくりですが、この1枚の革で2万円前後(上等な革です)

ではないでしょうか。

 

かつては生きていた大切な命です。お肉は食べておいしいし、栄養にもなります。

でも革も同様で牛さんが生きていたから提供していただけるのです。革、というだけで

かつての生きていた証の実感もなかなかわきませんが、たまには牛さんのことを思い出して、
せめて道具は大切にしていただきたいものです。