グラブの「油だし」についてお客様からご依頼と相談がございました。『アブラダシ?』って何
でしょう?エステでぜい肉のもみだしなのか、アブラで出汁をとるのかも分からず、いろいろと
逆にお客様からご説明を受け、「なるほど、そういうことなのね」と理解をいたしました。

理屈と方法は簡単なのですが、逆になぜ『それを必要とする』のかそれを施すことによりグラブに
とって『メリットや効果があるのか』というはてな?が頭に浮かびました。弊店はいつも申しており
ますが、野球の素人集団でありますので、だからこそ噂や迷信や言い伝えや法則なども無視して
単純に【合理的】に考えることはできます。

グリスの重要性は以前にも述べさせていただきました。
グリスの役割と使い方はご周知のとおりですが、では、グリスの主原料・主成分が何なのかを
理解した上で、わざわざポケットの表面に浮き上がらせるのかわかりません。ポケット部分をオイル
で浸透、浮き上がらせたい、というならば馬の油を表面であるポケットから直接丸く塗り込めば
それでOKだと思うのですが。。。馬油はミンクオイルよりもさらに浸透力が高く軽い上に持続性も
ありますので、グラブ本体への影響は少ないと思います。ドラッグストアーで売っています。ちょっと
高めですが、かなりお手軽です。
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        少し経年数が高めのグラブには(新品)結構オイル染みが見受けられる。これを敬遠される方も
        多く、逆にしっかりといい塩梅になっているのになあ、と思ったりしております。



そもそも「油だし」をするためには2点の手順が必要です。1点目はグリスの油が均等にまんべんなく
補充されているかです。少なめの場合は補充が必要です。わざわざ外に浮き上がらせるために
あごヒモなどを外して補充する自体、グラブが重くなってしまいます。中古のグラブの場合は、
恐らくグリスも硬化またはカビカビに干上がっているので、メンテナンス上は好ましいと思いますが。

グリスを気持ち多めに補充したとします。確かに接着剤替わりであり、クッション性も増しますので、
フィット感も出ますが、やがて革の目詰まりを起こし、通気性も失われ、ヌベッとしたテカテカ状態
となってしまいます。
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        こちらがヒーティングガンです。業務用なので重いし頑丈なスチール製なので一般のドライヤー
        がおもちゃに見えます。先端は数百度になりますので、触れるとやけどします。


次に肝心の油を出す工程です。ドライヤーで直接吹き付ければそのうち革と油は浸透してくるでしょう。
弊店には秘密兵器もあって『ヒーティングガン』という切り札もあり、これでやれば難なく出来る
と思います。距離や温度も調整はおてのものです。例えばこのヒーティングガンを使用した場合、
熱風が直接当たる部分は10秒で100℃になったりします。(ドライヤーは低温じっくりという感じです)
ドライヤーの低温といっても一時的には60-70℃にはなるでしょう。この熱による革のダメージは
相当です。革を茹でたりレンジでチンしたりいろいろと熱を加えるグラブ料理は何度も経験済みで
どうなるかをじっくりと見てきました。結果、グラブの耐久性は著しく低下してしまいます。
『チィーン!』です。
このような理由をお客様にご説明申し上げ、あまり好ましくないとお伝えいたしました。
最終的にはそのままグラブを持って帰られました。費用も手間もかかりますし、その分の
効果が?ならばもったいないことです。それでもしたい!というお客様はぜひお申し出ください。
こちらもお仕事として完璧目指して頑張ります。それでは。