この気合が入ったグラブを見て、直観的に2つのギモンがすぐに出てきました。小指が立った
女性チックな型がついた個性的なグラブですが、久しぶりに頑固もんのグラブでしたので、
いろいろな思いが湧きたちました。

1つ目は単純にこの型でいったい、どうやってボールをキャッチできるのか?
2つ目はこのグラブをもし、他の業者が買い取った場合、このまま売るのか?それともある程度
型を矯正して売るのか?このまま販売してしまうのは使用出来ない可能性があって販売すること
をどう思うのだろうか?ということでした。(もちろん、前オーナー様にとってはこの型が一番使い
よく、苦労して型をキメられたことと思いますので、型付けに関しては個性があっていいと思います)

そこまで考えてしまう理由として、ガチガチに型をキメる為に恐らく、2回以上はお湯につけて
革全体がカチカチに硬化していて、ヒモに至っては曲げるとパキッと折れて切れてしまいます。
ですので、この型のままでほぼ開く・閉じるが出来ない固まったグラブとなっているのです(硬式)
グラブの中での指の力の入り具合はこんな感じで小指にはほとんど力を入れていないと思われます。
恐らく、型を直したりグラブの開閉がしやすいように革を柔らかくすることが難しいのでは、と思いつつ
チャレンジしてみました。出来栄えはやはりあまり芳しくなく、60-70%ぐらいで元に戻ったか、という
ことでした。もちろん、グラブの型直しとしてお客様のグラブを成功、失敗のリスクを背負ってお受け
出来ないので、あくまで弊店が販売するグラブに限っての行為です。

革の柔軟剤、オイル、洗浄剤、リンスなどいろいろな成分をミックスした特別な液体をこのグラブに
あわせて調合しました。丸1日漬けこんでゆっくりと乾かして、半熟に乾いた時点で叩いて型をキメて、
ヒモを全交換として入れ直しました。手間暇かけましたが、これでだいたいの人の(ピッチャー)
手に馴染むのではと思います。しかし、出来栄え的には消化不良であったりします。
いつまでたっても納得いく出来栄えには修行が足りないとつくづく思う次第です。ガンバロー!