買取りをさせて頂いているとよく『もったいない』グラブに遭遇することがある。

しかも【高級で高額で上質の硬式グラブ】に限ってそうなのである。メーカーで言うと

圧倒的にミズノプロ、次にプロブレイン・プロステイタス・ゴールドステージなどである。
今回、ご紹介するグラブはたまたま違うグラブメーカーさんです。

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     独特のシワが寄っている場合が多いです。裏側は谷折りとなってシワが寄っています。

上質が故に革もしっかりとしていて、硬式が故に頑丈だから初めの型付けが結構肝で

一旦癖のある形に型をつけてしまうとなかなか元に戻らず、どんどんとその型の方向に

進んでいっては何やらキャッチングし辛いグラブへと変身してしまう。

一番難儀なのはグリスが偏ってしまい、そのまま硬化してしまうことで、

ご本人はそれで違和感がないのだろうか?それともこんなものだと思ってしまっている

のだろうか?グラブを持ち込んでこられるお客様にこのグラブの型はヘンだけど、どう

思っていますか?と聞くわけにいかず、本当のところは分からないのだけれど。。。。

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これらのグラブは一旦メンテナンスセンターに持ち込んだら強制的に型を一般的な利用

しやすい型へとリメイクし直す。ビフォー・アフターで比べて頂くと一目瞭然なのですが、

グリスを溶解するところから始めるので、60-70°ぐらいの熱湯をピンポイントでグリス

部分だけに当てて革も含めて柔らかくする。絶対に他の箇所へは湯は当てない。特にヒモ

部分は劣化を招いてしまう。(アゴ・ドテはどうしても濡れるので乾燥には気を付けています)

後はハンマーでポケットを叩いて作り直して、全体的なバランスも一緒に矯正する。

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       買取り直後のBeforのグラブです。よれていてあまり開かずキャッチング範囲
       も狭いです。手のひら部分が山のように盛り上がっています。

 

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       メンテナンス後のAfterのグラブです。ポケットもきっちりと造り、親指・小指の付け根
       部分の可動範囲も広げてパカッと開くようにしました。

もちろん、型は個人個人の手の形や癖があってそのぶん、いろいろな型が存在すると

思います。なので、コレが正解!というのはありませんが、折角高いお金を出して

いいグラブを買ったのですから、野球もうまくなってほしいと願うばかりです。

カッコイイ守備をする人がミズノプロのグラブを持っていて、何気ないしぐさがまたシブイ

ものだと思います。じっくりと焦らずグラブの型を育てていってください。