経年を重ねたグラブはどうしても染まっていたカラーがだんだんと薄くなってきます。
特に発色が良かったいい色はくすんでしまって何やら年をとってしまった感じが否めません。
そこで、元気ハツラツにピカピカに蘇ってほしく、たまにですが気合を注入する為に染色
することがあるのです。『どや?テカテカに光っとるやろ!エエ感じか?』という具合なのです。
ですが、出来上がっているグラブ全体を後染め(染めた革を組み立てるということでなく)
しますので色々と弊害も生まれて来ます。色褪せたグラブが全てうまくいくとは限りません。
一番はオイルの具合です。そのグラブに含まれるオイル分が多ければ染料を弾いてしまい、
革の中に入りません。最悪のケースはムラのあるオイル塗りをされたグラブの場合、オイル
が濃い部分は染まらず、オイルが薄い所だけ染料が入ってしまうことです。ご想像される通り、
ムラムラとなりまして、見た感じが最悪です。
また、全体的に染めますので、白のハミダシまでもが染まってしまいます。レース(ヒモ)も
とりあえずは全部同色に染まってしまいます。部分的に色を入れることは可能かもしれませんが、
大変な労力と時間がかかる為、現実的ではありません。
カラーに関しては液体染料ですのでカラーの基本4原色をはじめグラブに応じた色合いは再現
できると思いますが、特殊な色は(ゴールドやシルバー・ホワイトもダメ)なかなか難しいです。
染め上げたグラブは最終的に色落ちや劣化を防ぐ為、変性ウレタン樹脂を革に影響がないように
薄く塗布しますが、使いはじめのうちはどうしてもそのグラブのカラーがボールについてしまう
ことがあります(色落ちする)。
あとは硬さが少し残りますので、はじめのうちは球を弾いてしまうこともあるかもしれません。
なにせはっきり言うとカラー染色は見た目だけのイメージアップ作戦ですので、グラブの質や
状態が上がるわけではなく、以前と中身は全然変わらなく、かえってケバくお化粧をしてしまう
事でありますので、その点はご理解をいただきまして、選択いただければと思います。