カウンターにて接客をさせていただいていると、よくご相談を受けることがグラブの癖を
どうにかしたい、型付けを失敗してしまった、どうすればいいか?というご質問です。
一番多いパターンがポケット部分で下の方、ドテの少し上ぐらいに『山なりに浮いてしまう』
といことです。小高い山脈が出来てしまい、フラットにならない、ということでした。
根本的にはボールをキャッチする手の力の入れ具合や手の動作の癖が原因ですので、
たとえリセットしても恐らくは使って行くうちにまた元に戻る可能性が高いと思われますので
抜本解決にはならないと思われますが、ご家庭でも簡単に10分リセットを試して頂いて
少しだけモヤモヤが晴れればと思います。。。。。本格的にプロが手間暇かけてする場合は、
例えばグリス交換やポケットの中に薄い当て革を補強したり、叩きをとことんするなどして
完全に戻すこともできますが、結構なお金がかかってしまいますので、それは今回ご紹介しません。
ビフォア‐グラブです。スラッガーのファーストミットです。そこまで顕著な症状ではありませんが、
手入れ部の裏革もやはり一緒にシワになってしまっています。表(ポケット)が山なりですので、
裏は谷になります。
熱めのお湯(45-50度)をスプレーで『患部』にだけピンポイントでスプレーします。大事なのは他の部分、
特にレースには吹きかけないことです。これで革に水分を入れます。
次にドライヤーで水分を飛ばしつつ、もう少し患部の温度を上げてゆきます。ここも他の部分にはドライヤーを
当てないでください。レースは劣化しますので。ピンポイントです。
革が少しアツアツになったところで叩きを入れます。どんなものでも大丈夫ですが、例えば「バット」
の先端のヘッドなんかも応用できますし、100均にてラバートンカチや木製トンカチなども売っています。
大切なのは『偏って硬化したグリス』をフラットに散らすことと革の癖をここでフラットにさせてしまう
ことになります。
最後に大切なことは『養生』です。グラブを立てて少なくとも2日は陰干ししてください。
ここでは手にはめてパコパコしたりいじったりせず、触らずそっとそのままの乾燥となります。
必要に応じて弊店ではこの部分だけ革の硬化剤を使用することもあります。もちろん、最終的には
ミンクオイルを塗ります。
※革にオイルが入りすぎている場合はこのようなリセットはできません。オイルをかなり
抜く作業からとなり、大掛かりなこととなります。
アフター画像です。シワや山なりの癖をリセットしました。まだ乾いていない状態ですので、
こんな感じです。ただ、どうしても前のままのキャッチングの癖があると、そのうち元に戻って
しまうでしょう。弊店がお客様から買取りをさせて頂いた時にはこのような施行を致します。
次にお使い頂けるお客様とはキャッチングの癖が異なりますので、以前のようにはなりません。
それでは、気になる方がおられましたらぜひトライしてみてください。