グローブ・・・・革にとっての最強の天敵は何と思いますか?水や湿気?脂や泥?経年劣化
やグラウンドでのタフな使用?・・・・実はどれもブブッ‐‐‐!違います!
なんとそれは『カビルンルン』なのであります。カビといってもおおまかに2パターンあります。
白い綿のような胞子が今にも飛びそうなエゲつないザ・カビではありません。見た目は胞子が
ぶよよ~んと飛びそうで、鼻がムズムズしてきますが、これはまだなんとかなるのです。弊店
ではこのような場合、純度の高い消毒用アルコールで綺麗にふき取り、その後はワックスで
メンテナンスします。そうすると意外と再発はしません。厄介なのがもう一つのカビで、これに
侵されてしまうともうどうしようもありません。【ジ・エンド】なのです。それは黒っぽい直径
5mmぐらいのシミのような点々としたもので、革の表面に浮き出るものではなく、革そのものに
シミとなってやってくるのです。この場合根が深く、恐らくアンコからやってきます。染み出てきた
カビであるのです。
【匂いを嗅いで査定する】ということが以前にありましたが、これはグラブ
の匂いにカビ臭がする場合が結構あるのです。なんと言うか独特の匂いで、湿気あるタンスの隅に
10年ほど熟成させた感じであるのです。お持込いただきましたお客様には大変失礼なので、その場
では鼻をくんくんさせる行為は致しておりません。しかしもう雰囲気で『くさっ』と感じてしまうと
カビの気配がどこにあるのかチェックしてしまいます。そして査定額にはやはり影響してしまいます。
修理・メンテナンス・オーバーホールでこの点々のシミも取って欲しいとリクエストを頂くことが
たまにあります。しかしながらこのシミのような点々がグラブ全体に広がっている場合、ご本人様
はそう重大なことではないと思われていますが、絶対にとれません。もう手遅れなのです。
特に目立つカラーはイエロー、ライトブラウン、オレンジ系です。内側(ポケット側)に直径5mm~
1㎝ぐらいの丸いシミが(白カビではなく)点々と浮いてきているグラブはもうすでに侵されていて、
革の裏側まで浸透したカビですので、どうやってもこの点々は取れません。北斗百裂拳を受けた革は
すでにもう「ひでぶぅーー」状態なのです。
唯一、ブラックや濃いブラウンなど目立たないカラーに染め変えてしまうぐらいしか方法はない
のです。皆様、この恐怖の『カビルンルン』にはくれぐれもお気を付け下さい。陰干しは大切です。
たまにはオイルも塗ってやってください。よろしくお願いいたします。